飛行機搭乗奇行

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中銀カプセルタワービル〈〈銀座〉〉の見学会レポート

 「そろそろ見学できなくなるかも」と知り合いから聞いたので行ってきました。中銀(なかぎん)カプセルタワービルの見学会に参加してきました。

 ※2022/02/17本文の誤りを修正しました

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中銀カプセルタワービルとは

 銀座8丁目にあります。新橋駅と築地市場駅の間にあります。メタボリズム(新陳代謝)思想の建物として1972年に竣工した集合住宅です。四角い部屋と丸い大きな窓が目立つ外観となっています。

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中銀カプセルタワービルの外観

見学会への申し込み

 ホームページで募集をしていたら、すぐに申し込みましょう。

 中銀カプセルタワービル見学ツアー

 所要時間は1時間弱です。金額は3000円です。見学中に現金で集金を行います。

見学会ツアーの概要

 指定の日時になったら玄関前に集合します。前田さんが案内をしてくれました。集合したあとは1Fの玄関を通って、エレベーターで上層階の屋外に出て説明を受けます。

 そのあとは、螺旋状の階段を下って、見学ができる部屋で写真撮影をして解散となります。

玄関(1F)のようす

 通常のマンションのように玄関スペースがあり、管理人がいました。ホテルのフロントとのような見た目です。共用スペースなので玄関は撮影禁止。

エレベーター

 エレベーターが2機あります。エレベーターの中は撮影可能でした。どちらも三菱エレペットです。目的の階に到着すると位置合わせのためにガッタンと揺れます。

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三菱エレペット

最上階へ

 上層階にやってきました。建物の構造などの説明を受けます。2つの棟で構成されています。下の写真は2つの建物の間をつないでいる通路の写真です。直方体の構造物がカプセル(部屋)も見えます。

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通路

 それぞれの棟にエレベーターと螺旋状の階段があります。その階段を取り囲むようにカプセル状の部屋が取り付けられています。よく見ると、カプセル同士には隙間があります。

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カプセルの間には隙間

 上の画像ではカプセルの隙間に、エアコンの配管が通っています。初期のエアコンは使えなくなってしまったので、所有者が壁に穴を空けてあとから取り付けたそうです。ちなみにこの隙間は3階まで続きます。

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上下にも隙間

 カプセルが宙に浮いた状態なので、上下にも隙間ができます。雨風が入ってそこから腐食などが起こるそうです。

階段

 エレベータを取り囲むように、螺旋状に階段がありました。部屋には厳密な階層というのはありません。階段を1/4階程度登ったり降りたりすると踊り場のような場所があり、カプセルの玄関があります。

 さきほど見たようにカプセルどうしには隙間があり、玄関の上から雨漏りが発生していました。

部屋(カプセル)の見学

 見学用の部屋があるので見学します。まず目を引くのは丸い窓でしょうか。

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丸い窓

 もともとは扇形のカーテンがついていて、一周すると全部を覆うようになっていたそうです。二重窓の内窓は内側に開きます。

 窓のすぐ横にはオーディオシステムがあります。

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オーディオシステムと棚

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オーディオシステム

 当時の最新式(?)のオーディオシステムです。ソニー製です。ラジオの電源は入りますが確か受信できていなかった記憶があります。テレビは手回し式のブラウン管です。他の棚は収納スペースです。

 次に部屋の中から玄関とお風呂方面を見てみます。

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玄関とお風呂&トイレ

 玄関は雨漏りで錆びています。お風呂&トイレを見てみます。独特なドアをしています。

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いわゆるユニットバス

 お風呂はビジネスホテルのユニットバスといった面持ちです。

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浴槽

 浴槽です。ほぼ当時のままだそうです。コンパクトです(狭いです)。写真の左側にトイレがあります。洗面台からは水が出ますが、お湯はでないそうです。

 なお、初期設備にはキッチンはありませんでした。

この建物のコンセプト

 メタボリズム思想に基づいて建てられたマンションです。メタボリズムとは日本語では新陳代謝となります。マンションが新陳代謝をするように、カプセル(部屋)を取り外すことができます。このカプセルは古くなれば交換したり、別の場所に運んで移転することもできるはずでした。

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中銀カプセルマンシオン<銀座>

 見学会に参加すると購入することができる冊子です。住人が持っている当時の冊子の断片を集めてスキャンして冊子にしたそうです。

 本にある内容は、中銀マンシオンの代表取締役と設計を行った黒川紀章氏の対談写真、コンセプト、建物断面図、ビジネスカプセルの構成、カプセル内のデスクユニットの図解(日本語で事務処理装置と書かれている)、建物の階層ごとの平面図におけるカプセルの配置図、サービス内容(ビジネスカプセルなのでベッドメイキングやタイプライターの貸し出しなど)です。

 例えば、黒川氏は「カプセル住宅の時代」と題した文章があります。

現代社会は現在転換期にさしかかっている。情報化社会、超技術会社、あるいは高度選択会社と行った未来会社のイメージが議論されているのも、われわれの生活構造がこれから、どう変身していこうとしているかを探る試みだったといってよい。

(中略)

特に頭を使う仕事が中心となる情報化社会においては、オフィスとかぎらず、家庭でも、通勤中の国電の中でも、仕事場の延長になってしまうといってよい。このような緊張の多い社会の中で、重要なことは、自分らしい個人の空間を獲保することではないだろうか、カプセル住宅とは、現代社会において、自分をとりもどすための休憩の場であり、自分らしい思想を築くための情報拠点であり、都心をこよなく愛する都市人にとっては、生活の基地になるだろう。

 オフィス以外の自宅やシェアオフィスでテレワークすることが当たり前となってきました。自ずと、仕事をする場所と、仕事から離れた場所について考えを巡らされることとなります。現代において"カプセル"を再定義すると新たな知見が得られるかもしれません。

 さて、同書には「三つの機能」と題してこのようなことも書かれています。当時の仕事の一端が垣間見えます。

三つの機能

このビジネスカプセルが、群として銀座に構成される時、三つのサービス機能が付加される。

マンシオン機能・ホテル機能・オフィス機能。

マンシオンとしての管理体勢でありながら、あたかもホテルのような機能性をもつ。しかも、セクレタリーサービスとして、電話対応、タイプライター、及びゼロックス、その他の複写のサービスや、小型計算機等の貸出しなどのサービスを行う。

これが、ビジネスカプセルである。

建物の図面

 同じ本から断面図です。2つの棟から構成されており、中心にはエレベーター、それを取り囲むように螺旋状の階段となっています。

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建物の断面図

 こちらは部屋の配置図です。少しずつ、上下にずらしてカプセルが配置されていることがわかります。

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部屋の配置図

カプセルを移動するには?

 カプセルは中心にある壁に引っ掛けて取り付けてあります。取り外すときはカプセルを上方向に移動することにより取り外します。実は水平に取り出すことができないようです。カプセルの上下の隙間は20cm程度(筆者目測)なので、実際に取り外すときは、一番上のカプセルから取り外すことになります。個別に取り外すことはできないそうです。

 取り外して移動できたとしても、中銀カプセルマンシオンのようなカプセルを取り付ける建物がありません。

取り壊し

 具体的な日にちは決まっていませんが、取り壊しが決まっています。カプセルのいくつかは保存が決まっているそうです。

www.tokyo-np.co.jp

訂正(2022/02/17更新)

 案内して頂いた前田さんより当エントリへの指摘がありました。本文中は訂正済みです。訂正してお詫びします。訂正箇所は3つです。

  1. エレベーターについて「それぞれ違う型式らしいです」と書きましたがこれは誤りで、2機のエレベーターは同じ型式です。
  2. 誤「初期のカプセルにはエアコンがなく、所有者が壁に穴を空けてあとから取り付けたそうです。」
    正「初期のエアコンは使えなくなってしまったので、所有者が壁に穴を空けてあとから取り付けたそうです。」
  3. 誤「窓は外側に開きます。」
    正「二重窓の内窓は内側に開きます。」

おわりに

 見学会の開催は今後未定となっています。カプセルを見るだけでも当時のコンセプト―――メタボリズム思想を感じることができると思います。

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中銀カプセルマンシオン 外観